米国上院の外交委員会に所属する共和党のテッド・クルーズ上院議員(テキサス州)と民主党のジェフ・マークリー上院議員(オレゴン州)は3月11日、中国における強制臓器狩りの実行者に制裁を科すことを目的とした超党派法案「法輪功学習者および強制臓器摘出被害者保護法(Falun Gong and Victims of Forced Organ Harvesting Protection Act)」を共同提出した。 法案は、「臓器狩り」への関与が確認された外国人に対し、米国への入国禁止および米国内での金融取引の停止という制裁を大統領に付与する権限を定める。大統領は対象者リストを議会の関連委員会に提出し、新たな情報が入り次第、少なくとも年1回更新することが義務付けられる。 また、国務長官が保健福祉長官および国立衛生研究所長と協議のうえ、中国の臓器移植政策と実態に関する報告書を議会に提出することを義務付ける。報告書には、法輪功学習者および良心の囚人からの臓器移植に関する中国の法律と実際の政策の概要、過去10年間に米国が中国の臓器移植研究に拠出した助成金の一覧、および中国における強制臓器摘出が、2018年に成立した「エリー・ウィーゼル大量虐殺・残虐行為防止法」に定める「残虐行為」に該当するかの判断が含まれる。 両議員の声明 クルーズ上院議員は声明の中で、「中国共産党は、信仰を理由に人々を標的とする残虐な国家主導の臓器狩り産業を運営している。中共は特に法輪功学習者を標的にし、宗教の自由と基本的人権を侵害してきた。こうした残虐行為を行った者に責任を取らせるべきだ」と述べた。 マークリー上院議員は、「中共による弾圧と人権侵害は、中国国内の脆弱なグループからの強制臓器狩りの報告を含む、悲惨な結果を招き続けている。被害者のために立ち上がらなければならない」と訴えた。 立法の背景 法輪功は1990年代初頭に中国で広まった精神修煉法で、中共は1999年に弾圧を開始した。それ以降、多数の学習者が不当に拘束され、労働収容所に送られ、一部は強制的に臓器を摘出される被害を受けてきた。摘出された臓器は中国国内の移植手術に使用されるほか、海外へも売買されていると報告されている。 議会ではこれまでにも関連法案が複数回提出されている。ペンシルベニア州選出のスコット・ペリー下院議員が提出した「法輪功保護法」は、2024年と2025年の2度にわたって下院を通過した。クルーズ上院議員も昨年、同法案を上院に提出していた。クリス・スミス下院議員(ニュージャージー州)が提出した「強制臓器摘出阻止法」も2025年5月に下院を通過している。米国の立法手続きでは、法案が法律となるには、上下両院で同一の内容で可決された後、大統領が署名する必要がある。
米国政府系メディア「ボイス・オブ・アメリカ」(VOA)中国語版は2月20日、中国における臓器移植をめぐる人権問題を取り上げ、新著を出版したジャーナリストのヤン・エキレック氏(Jan Jekielek)に対するインタビューを公開した。 同氏は中国共産党(以下、中共)による強制臓器摘取が個別事例ではなく、国家が関与する組織的な体系の下で行われているとの見解を示した。 エキレック氏が出版した新著のタイトルは『オーダーメイドの殺戮 中国の臓器収奪産業と米国最大の敵の本質』(Killed to Order: China’s Organ Harvesting Industry & the True Nature of America’s Biggest Adversary)。同書は、2006年以降の約20年にわたる独立研究、医療文献の分析、証人証言を集約したものだという。 同氏によると、臓器移植の「需要に応じた殺害」体系が機能するには、国家による大規模な強制力、特定集団の非人間化を目的とした宣伝活動、および大量拘禁の能力が不可欠であるとし、中共が1999年から法輪功修煉者に対して実施した弾圧がその典型例であると述べた。 同氏は、中共の公式発表数字に対して疑問を呈するとともに、独立した病院調査や医療文献の分析をもとに、2000年代後半の時点で年間6万から9万件の臓器移植手術が行われていたと推計した。 […]