「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」が、第208回国会の決議第一号として採択されました。文言の調整を経ながらも、国権の最高機関である国会での決議通過は国内外に我が国の中国人権問題に対する基本姿勢を示すことが出来たと捉え、ここに歓迎の意を表明いたします。中国人権問題に関心を寄せ、採択に尽力いただいた議員の皆様方には衷心よりの感謝を申し上げます。・・・【加瀬英明】 


「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」国会通過に関する声明文

 

 「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」が、第208回国会の決議第一号として採択されました。文言の調整を経ながらも、国権の最高機関である国会での決議通過は国内外に我が国の中国人権問題に対する基本姿勢を示すことが出来たと捉え、ここに歓迎の意を表明いたします。中国人権問題に関心を寄せ、採択に尽力いただいた議員の皆様方には衷心よりの感謝を申し上げます。

 過去2度の国会で見送られたにもかかわらず、今回、「平和の祭典」冬季五輪が北京で開幕される直前に本決議が成立したことは、今後の我が国政府の対中外交方針の転換を示唆する画期的な英断でした。歴史的にも経済的にも結びつきの深い中国との関係は、今年、国交正常化50年の節目を迎えます。

 本決議成立の数日前、全世界で100人あまりの証言をもとに中国臓器収奪の実態を浮き彫りにした在英ジャーナリスト、イーサン・ガットマン氏の調査報告書『臓器収奪-消える人々』日本語版が上梓されました。同書まえがきでは、日本から中国に渡航して臓器移植する患者が多数存在することや、日本の医学界が中国からの研修生に移植技術の指導を施してきたこと等を踏まえ、我が国が中国の血塗られた臓器収奪に関わらないよう、移植医療における日中間のあらゆるパイプを断ち切るよう提言しています。

 また、50人あまりの当事者から意見聴取し、検事や弁護士からなる第三者委員会が中国臓器収奪問題を調査した独立法廷「民衆法廷」(2019−2020)は、迫害に遭った法輪功学習者やウイグル人ら少数民族が収監施設のなかで意図不明な血液検査や内臓検査を強要されていること、さらに同意もなしに強制摘出された臓器が商品として売買されていること――などの凶悪犯罪が、国家レベルで現在も続いていると結論づけました。

 翻って我が国では、昨年発足した岸田内閣が人権担当首相補佐官のポストを新設し、中谷元元防衛相が就任しました。経済産業省は「ビジネスと人権」会議を開き人権デューデリジェンス(DD)に関するガイドライン策定を目指していると聞きます。専門調査者たちのあいだでは中国の臓器移植ビジネスは年間約1兆円の産業規模と試算されており、人権DDを含め政府主導で規制の動きが発現することを期待します。そして、本決議が我が国にとり、人権外交の萌芽となり、アジアの人権大国として毅然とした路線を踏み出す第一歩となることを願ってやみません。


       令和4年2月4日
       SMGネットワーク代表
                加瀬英明

地方議員の会 代表世話人
逗子市議会議員 丸山 治章