設立趣意書

 

 中国における不正な移植臓器売買は、間違いなく今世紀最大の国家犯罪の1つであると言えます。国際的な人権規範が確立されつつある今日に於いてなお、同国では「良心の囚人」から――多くの場合、生きたまま――臓器を抜き取り、共産党幹部とその一族、そして国内外の富裕層の需要に応じて提供する生体ビジネスの蛮行が半ば公然と、そして現在進行形で横行していることが判明しています。

 これらの事実は、世界的に名を知られたカナダの人権弁護士と閣僚経験者両名による10年以上にわたる調査、そしてアメリカ人ジャーナリストによる120名以上からの聴き取り調査、実際に施術にあたった後欧州に亡命したウイグル人医師の証言等々、確度の高い数多の証拠によって裏付けられたものです。

 中国側はこれら移植に用いられた臓器の出所を「死刑囚から」と説明してきましたが、中国で年間に実行されるといわれる死刑数と移植手術数はまったく釣り合っていません。中国政府の公式発表によれば国内で実施される臓器移植は年間約1万件ですが、最新の調査ではその6倍から10倍の件数が推定され、思想信条上の理由で捕らわれた「良心の囚人」の生命が万単位で奪われている可能性が指摘されています。

 では、毎年万単位で闇に葬られている「良心の囚人」とは一体誰か――?

 その大部分をなすのが、ウイグル・チベットなどの少数民族、そして無実の罪で逮捕された法輪功の修煉者や他の宗教者であると考えられています。米国務省の国別レポートによれば主に思想犯や政治犯を収容する中国の労働収容所には25万人が囚われていますが、中国事情に通じた外国人のなかにはその半数以上が法輪功の修煉者であると指摘する人もいます。そして、この労働収容所こそが需要に応じて提供を行う〝生体臓器バンク〟の供給源であると考えられているのです。

 およそ現代社会ではあり得ないようなこの悪徳行為に対し、国際社会の監視の目も日々厳しくなっています。直近では昨年6月、米下院議会が「移植臓器販売の目的で宗教犯・政治犯を殺害することは言語道断の行為であり、生命の基本的権利に対する耐え難い侵害である」として、「すべての良心の囚人からの臓器移植を即刻停止することを中国共産党に要求する」などの条文を含む6項目の決議案343号を採択しました。米国に先駆け、2013年に欧州議会で決議案が通過しています。各国議会でも「魔の行い」である中国の「臓器収奪」を停止させようと、非難決議や調査請求が相次いでいます。イスラエル、スペイン、イタリア、台湾ではすでに法規改正を実施し、自国からの「移植ツーリズム」を厳しく取り締まっています。

 このような世界情勢のなか、独り日本だけが現在進行形の「魔の行い」に手をこまねいていて良いのか――。良いはずがありません。なぜなら、中国はわが国の隣国であり、我々もこの生体ビジネスの一環に、知ると知らざるとを問わず、既に加担してしまっているからです。

 既に日本から数百人に及ぶ患者が中国に渡り、移植手術を受けた――という関係者の証言があります。移植を行う中国東北地方の幾つかの大規模病院は日本人患者を主な顧客に想定した病床を備えていたことも判っています。また、最新報告によれば、執刀にあたる多くの中国人医師が日本で最先端の移植技術を学んで帰ったことも判明しています。

 私たちは、現在なお中国で行われている臓器収奪と売買を直ちに全廃することを求め、ここに「中国における臓器移植を考える会」を結成し、関係各所に対し、以下のように働きかけてゆく所存です。

  • 私たちは、現在進行形で続いている中国の臓器収奪犯罪に関し、この重大な人権問題を広く日本国民に周知させるため、多くのメディアがこの問題を取り上げるよう、働きかけていきます。
  • 私たちは、かつてなき邪悪な迫害である臓器収奪を即刻停止するため、中国に対し非難声明を発表するよう、日本政府に対し働きかけていきます。
  • 私たちは、臓器移植目的の日本国民が中国への渡航を禁ずることの法制化を求め、議会へ働きかけていきます。
  • 私たちは、例え間接的にであれ、日本の先端医療技術が中国における「良心の囚人」からの臓器収奪に加担しないよう、日本の医学界と関連各界に働きかけていきます。

2018年1月
中国における臓器移植を考える会
発起人代表/加瀬英明

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