【瓦解!習近平の夢】恐怖!!中国「臓器移植」の闇、待機平均2週間、早ければ数時間も… (河添恵子)

夕刊フジの 2018年 11月16日版に”恐怖!!中国「臓器移植」の闇” の記事が掲載されました。

 

2018-11-16-yukanfuji

 

 

【瓦解!習近平の夢】恐怖!!中国「臓器移植」の闇、待機平均2週間、早ければ数時間も…

 

河添恵子

 

 

中国は「臓器移植大国」と呼ばれ、毎年膨大な数の手術が行われている。日本や欧米では、ドナーが現れるまで何年も待つ必要があるが、中国では短期間で見つかるというのだ。中国政府はかつて、処刑された死刑囚からの臓器移植を認めていたが、気になる「臓器の供給源」はどこなのか。ノンフィクション作家の河添恵子氏は連載「瓦解!習近平の夢」の第4回で、国際的関心事といえる「中国臓器移植の闇」に迫った。
 
中国の医療現場で、政府の公式発表では約1万件だが、海外の調査では年間10万件近い臓器移植手術が行われていると推定されており、世界が“注視”している。米国に本部がある独立組織によると、日本が資金援助をする病院を含む、中国の865カ所の病院に、約9500人の移植医師がいて、認定移植センターは政府当局からの多額の資金投入もあるという。
 
中国の移植手術の分岐点は2000年にさかのぼる。中国政府が臓器移植手術を「未来の新興産業」と国家戦略の優先事項に位置づけ、衛生部、科学技術部、教育部、軍などが移植技術の研究開発、人材養成、産業化のために投資を始めた。
 
同年の臓器移植手術件数はいきなり前年の10倍に跳ね上がり、05年には5年前の3倍に増加したという。わずか数年の間に“大規模事業”となっていったのだ。
 
米国には、ドナー登録者が約1億2000万人いるが、手術までの平均待機は2~3年とされる。一方、中国において待機は2週間、早ければ数時間で移植手術が可能となっている。ドナー提供を待つ国内外の患者にとっては、夢のような話ではある。
 
ただ、そのドナーは一体どこからなのか?
 
05年11月、WHO(世界保健機関)のある会議で、中国衛生部の黄潔夫副部長(当時)がドナーについて、「死刑囚がほとんど」「臓器移植手術は年間5500~1万件」と語った。
 
国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによる「中国の死刑囚の数」は、同年までの5年間の年平均は1600人強だった。
 
中国外交部はその後、黄氏の発言を否定し、「市民からの自発提供」と述べた(=中国は15年以降、死刑囚の臓器提供を中止したと説明)。だが、上海や南京などの赤十字社に覆面調査をした結果、ドナー提供者数はゼロや数件だったことが報じられた。
 
また、「病院に死体を焼却する焼却炉(火葬場)がある」というボイラー室で働く従業員の驚くべき話や、南京軍区総医院副院長はじめ、移植に関わった医師の相次ぐ自殺なども数年前に報じられた。
 
いつしか、「移植界の権威」の称号すら与えられた移植医でもある黄氏は、中国臓器移植・提供委員会委員長という肩書を持つまでになった。
 
さらに今年7月、スペインで開かれた2年に1度の国際移植会議の後、WHO組織で、専門家や医師からなる「臓器と人体組織の提供と移植に関する作業部会」30人のメンバーに、黄氏がWHOの推薦で選ばれた。中国メディアは「中国の移植経験は世界に称賛されている」「疑われた臓器狩りはでっち上げということが証明された」などと報じた。
 
そのようななか、10月中旬、英国において「中国での臓器移植濫用停止(ETAC)国際ネットワーク」委託による、中国での強制臓器収奪を調査する民衆法廷が発足した。民衆法廷は公式の国際機関が進んで調査しない、もしくはできない状況の深刻な犯罪を裁くために行われる。裁判は、勅撰弁護士(=エリザベス女王陛下から権威を授与された法律家)であるジェフリー・ニース卿がつかさどる7人の独立したメンバーで形成されている。
 
良心の囚人(無実の人々)からの強制的な臓器の収奪・売買や、中国政府筋の組織的関与の疑いが指摘されているなか、ロンドンで12月に第1回の公聴会が開かれ、30人の証言者と専門家の証拠が提示されるという。
習近平政権は、永遠に隠し通せるつもりなのか?
 
 

■河添恵子(かわそえ・けいこ)ノンフィクション作家。1963年、千葉県生まれ。名古屋市立女子短期大学卒業後、86年より北京外国語学院、遼寧師範大学へ留学。著書・共著に『「歴史戦」はオンナの闘い』(PHP研究所)、『トランプが中国の夢を終わらせる』(ワニブックス)、『中国・中国人の品性』(ワック)、『世界はこれほど日本が好き』(祥伝社黄金文庫)など。

 

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関連サイト

中国での臓器移植濫用停止 ETAC国際ネットワーク