カナダ国際人権弁護士 2021世界サミットでのスピーチ

2021年9月17日~9月26日「強制臓器摘出の阻止・撲滅に関する国際サミット」は国連総会に合わせの間に行われ、中国における強制臓器収奪の現状を確認し、防止と根絶に向けて具体的な方策を提示しました。
パネリストとして、主要7ヵ国(G7)を含む世界19カ国から、欧州議会議員、国会議員、医師、大学教授、裁判官、弁護士、人権活動家等 合計35名が参加し「医学、法律、政治、メディア、市民社会、立法政策」の6つの話題について討議しています。
主催は国際医師団体「強制臓器収奪に反対する医師の会(DAFOH)」を筆頭に、ヨーロッパの「CAP Freedom of Conscience」、韓国の「臓器移植倫理協会(KAEOT)」、台湾の「国際臓器移植関懐協会(TAICOT)」、日本の「移植ツーリズムを考える会(TTRA)」=弊会の姉妹団体
となっています。

 


カナダ国際人権弁護士 2021世界サミットでのスピーチ

 

 

デービッド・マタス
カナダ:国際人権弁護士

 

中国で良心の囚人が臓器のために大量に殺害されてきた証拠は、2006年から入手可能である。これらの殺害が行われていたという結論に至った理由のひとつは、もちろんそれだけではないが、中国の国内においても、また国外においても、これらの行為を禁止したり罰したりする法律が存在しないからである。この15年の間に、法的な状況には様々な変化があった。このプレゼンテーションでは、中国国内および中国国外における状況について、概要を説明する。

 

https://www.youmaker.com/video/65de02b3-d184-484f-a9d3-838d111e0627

 

 

(はじめに)

中国で良心の囚人が臓器のために大量に殺害されてきた証拠は、2006年から入手可能である。これらの殺害が行われていたという結論に至った理由のひとつは、もちろんそれだけではないが、中国の国内においても、また国外においても、これらの行為を禁止したり罰したりする法律が存在しないからである。

 

この15年の間に、法的な状況には様々な変化があった。このプレゼンテーションでは、中国国内および中国国外における状況について、概要を説明する。

 

(中国の状況)

中国では、2006年に政府が法輪功学習者を中心とする良心の囚人を臓器目的で大量に殺害しているという証拠が発表された後、臓器移植の濫用を明確に認めた旧法を廃止することなく、臓器移植の濫用に向けた新法を制定した。国務院は2007年3月に臓器移植に関する規定を制定し、2007年5月に発効した。この法律は、同意なしに生きたまま臓器を摘出することを禁じている。また、生前に死後の臓器提供を望まない意思を表明した死者からの臓器提供も禁止している。

 

生前に、臓器提供に同意あるいは反対しなかった故人の臓器提供については、配偶者、成人した子供、両親の同意が法律で認められている。しかし、身元不明の遺体、あるいは近親者が現れない死者からの臓器提供についてはどうだろうか。この点について、2007年の法律には何も書かれていない。

 

これらの疑問については、かなり前に遡る2つの法律が示している。1979年の中国衛生部の規定によると、医学部を含む教育研究機関が、教育や研究を行う際に、引き取り手のない遺体に対して解剖を行うことができると定めている。誰の同意も必要としない。

 

中国の広範な政府機関が採用した1984年の「死刑囚の死体または臓器の使用に関する規則」にも同様の規定がある。これには、死刑囚の引き取り手のない遺体や、遺族が引き取りを拒否した死体を「利用することができる」と定められている。

 

2007年の法律では、1979年や1984年の法律が改正、あるいは廃止されていない。しかし、中国におけるこの分野の法的な問題は、単に法律に隙間があることや、古い法律を廃止できないことに留まらない。

 

中国の現実は、共産党が法制度を支配していることである。中国共産党は、法律の適用において、自らを告発したり、自らの行動の障害や妨げとなることは一切行わない。共産主義の中国では、法律は党と不仲の人たちに対してのみ使われる。中国に法の支配は存在しない。法の支配の代わりに存在するのは、党の支配である。

 

中国では、良心の囚人を臓器目的で大量に殺害することが、国家運営として制度化されている。刑務所制度や政府病院の運営を通じて行われ、その中には軍部が営利事業として運営する病院も含まれる。

 

通常、法輪功に限らず、恣意的に拘束された良心の囚人の遺体は、家族に引き取られることはない。家族は拘束された親族の居所を知らないかもしれない。拘束の事実さえも知らないかもしれない。たとえ知っていても、家族は往々にして、当局と関わることに消極的である。中国共産党の優位性を脅かすと見なされる行動・信念を、家族が犠牲者に棄却させなかったことを非難されることを恐れるからだ。

 

良心の囚人を大量に殺害して臓器を得ることは、党にとって2つの目的を兼ね備えている。 殺人は、党が政敵と見なすものを排除できる。臓器摘出は、医療制度の資金調達に大きな役割を果たす。中国での臓器売買は数十億ドル規模のビジネスである。党が中国を社会主義から資本主義に移行させ、国が医療部門から多額の資金を引き揚げた後、医療機関が国民に門戸を開き続けることを可能にし、医療制度の全般的な資金調達に役立てられている。法律がどう制定されよう、党がこの臓器売買を停止した、あるいは停止することは、ありえない話だ。

 

(国際的な状況)

デービッド・キルガー氏と私が法輪功学習者を標的とした臓器売買に関する最初の報告書を作成した当時、国境を越えた臓器売買を禁止する国際文書は存在しなかった。それに類するものは、国際組織犯罪防止条約(The United Nations Convention against Transnational Organized Crime)の「人身売買を防止し、抑止し及び処罰するための議定書」であり、臓器摘出を目的とする人身売買を禁止している。

 

中国は条約と議定書の両方の締約国である。このため、条約と議定書の作業を担当する国連の官僚機構である国連薬物犯罪事務所は、用語が似ているように見えても、臓器摘出を目的とした人身売買は臓器売買とは異なり、条約と議定書は臓器売買を対象としないという立場をとっている。

 

そこで、欧州評議会が交渉し、2015年に「ヒトの臓器売買禁止条約」を採択した。この条約は、締約国に対し、同意なしまたは金銭的動機による臓器摘出を罰する法律の制定がを求めている。この法律は、締約国の国民または永住権保持者によるこの行為が世界のどこで行われても、罰則を科す必要があるとしている。

 

現在、11の批准国と、署名はしたが批准していない15か国がある。批准国は、アルバニア、クロアチア、チェコ、ラトビア、マルタ、モンテネグロ、ノルウェー、ポルトガル、モルドバ共和国、スペイン、スイスの11か国である。これらの11か国は、原則として条約を遵守するために必要な法律を整備しているはずである。

 

この条約への加入は、欧州評議会の加盟国に限られたものではなく、実際、非加盟国のコスタリカは批准はしていないが署名はしている。オブザーバー国は自発的に署名することができる。オブザーバー国以外の国は、理事会の閣僚委員会からの招請を必要とするが、これは言うまでもなく、要請できる。コスタリカのほか、カナダ、米国、メキシコ、バチカンがオブザーバー国である。

 

(国家的な状況)

欧州評議会の11か国以外にも、幾つかの国が必要な法案を通過させた。まずはイスラエルが先陣を切った。

 

イスラエルでは2008年に、遺体から摘出した臓器に対する報酬の受け取りを禁止する法律が制定された。この法律では、臓器の仲介も禁止されている。臓器の摘出や移植がイスラエル国内、国外のいずれで行われた場合も禁止される。さらにこの法律は、法律の基準に反して海外で行われた移植手術の健康保険制度による払い戻しを禁止している。

 

台湾は2015年6月、死刑囚の臓器を使用することや、臓器の売買や仲介を禁止する法律を制定した。この法律では、特に移植ツーリズムを禁止している。海外で臓器移植を受けた患者が、国費で医療保障を受けるためには、臓器の出所を法的に証明する必要がある。

 

2016年12月のイタリアの法律では、臓器の取引、売買を世界的に罰則化している。ベルギーは2019年4月、臓器の商取引禁止する既存法を治外法権化し、海外で行われた場合でも犯罪を起訴できる法律を制定した。同法は、ブローカーや臓器を移植されるレシピエントを罰するものである。

 

(結論)

他の多くの国の司法当局は、積極的に法改正を検討しているが、今のところ制定はしていない。国連には193か国が加盟している。必要な法律を制定している国の数は、国際社会の規模に比べれば、情けないほど少ない。

 

2006年、中国で大勢の法輪功学習者が臓器のために殺害されたという最初の報道があり、全体としていくつかの変化があったが、問題は依然としてそのままだ。中国での良心の囚人の臓器を目的とした大量殺戮を止める上で、そして中国国外が殺戮の共犯者となることを止める上で、十分な変化は為されてこなかった。より多くのことをする必要がある。

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関連リンク

 

【21/9/17~26】「強制臓器摘出の阻止・撲滅に関する国際サミット」の開催のお知らせ
http://terafuto.greater.jp/smgtest/staging/2021-9-wscpfoh/

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