政府は12月16日、臓器移植法改正において議員立法ならば必要な協力をすると述べた。北村晴男参院議員による参院法務委員会での質問への回答。北村議員は、人道犯罪のリスクを孕む中国における臓器移植問題に関して、海外臓器移植ツーリズムへの規制強化を政府に求めた。
北村議員は、日本や欧米では臓器移植のドナーが見つかるまで2年から7年かかるのに対し、中国では1週間から3週間で可能だと指摘。「ウイグル人、チベット人、法輪功学習者などが強制的に収容され、全てのDNA情報がデータバンクとして管理され、必要に応じて強制的に臓器を摘出されている」と述べた。
その上で、国際移植学会が2008年と2018年に発信したイスタンブール宣言が各国政府に移植ツーリズムへの関与を予防阻止する法策を促していることに触れ、政府の対応をただした。
厚生労働省は、「宣言に基づいた移植医療の適正な実施について医療機関への周知を行っている。臓器取引や移植ツーリズムに関する動画を厚生労働省のホームページに掲載し、危険性を周知している」と答弁した。
さらに、北村議員は空港の出発ロビーや保安検査場に「海外で臓器移植手術を受ければ殺人等を幇助する可能性がある」との掲示をすることを提案。出入国在留管理庁は、「関係省庁から要望があった場合には、出国審査においてどのような対応が可能か検討していきたい」と述べた。
さらに北村議員は、臓器移植法の改正により臓器移植ツアーを主催またはサポートした者を処罰すること、ドナーから同意の提供がなされたことが明らかな場合を除き、海外で臓器移植を受けた者を処罰する規定を設けるべきだと主張。
法務省は「臓器移植法において臓器売買等について罰則が設けられている。新たな罰則規定を刑法に設けることについては慎重に検討する必要がある」と答えた。
厚労省は「海外移植を全面的に禁止する国際的なルールはない。臓器移植法を改正し規定を設けることについて、議員立法であることから、議論がなされるのであれば必要な協力を行いたい」との見解を示した。
中国での強制臓器摘出問題は、1990年代から指摘されている。国連人権専門家は2021年、拘束された少数派からの臓器摘出が無説明で実施されている可能性を指摘し、詳細な調査を求めている。
日本国会では過去にも、山田宏参院議員や石橋林太郎衆院議員がこの問題を国会で取り上げてきた。
参議院議員会館でも公聴会が開催され、SMGネットワークほか日本ウイグル協会、日本のチベット事務所代表らが参加した。 また、自民党議員らが議連会合でカナダ人権弁護士デービッド・マタス氏を講演に招くなど、議論を深めてきた経緯がある。
イスタンブール宣言は、各国政府に対し自国民の海外移植関与を防止する政策を促し、医療従事者の責任を強調している。 この宣言は、臓器不足を悪用した商業主義を防ぎ、公平な移植システムを推進する国際基準として機能している。