[[シリーズ第二弾]中国がウイグル人に行なっていること
中国による“強制臓器収奪”を告発する!
注目を浴びた日本が初の議長国を務めたG20大阪サミット。しかし、その10日前に、ロンドンで重要な告発がなされたことをご存じだろうか。
映画「Death on the Silk Road(死のシルクロード)」に出演。「民衆法廷」公聴会で証言した元外科医
エンヴァー・トフティ・ブグダ氏に聞く
G20大阪サミットの際に開催された日中首脳会談で、安倍首相は、習近平主席に対し、「逃亡犯条例」問題で揺れる香港情勢について、「一国二制度」の下で自由で開かれた香港の繁栄が重要だとの認識を伝達。新疆ウイグル自治区での人権問題も念頭に、人権の尊重・・・

[シリーズ第二弾]中国がウイグル人に行なっていること

日本の息吹【令和元年8月号】
中国による“強制臓器収奪”を告発する!

注目を浴びた日本が初の議長国を務めたG20大阪サミット。しかし、その10日前に、ロンドンで重要な告発がなされたことをご存じだろうか。

 

映画「Death on the Silk Road(死のシルクロード)」に出演。「民衆法廷」公聴会で証言した元外科医

エンヴァー・トフティ・ブグダ氏に聞く

 G20大阪サミットの際に開催された日中首脳会談で、安倍首相は、習近平主席に対し、「逃亡犯条例」問題で揺れる香港情勢について、「一国二制度」の下で自由で開かれた香港の繁栄が重要だとの認識を伝達。新疆ウイグル自治区での人権問題も念頭に、人権の尊重や法の支配など普遍的価値の重要性を指摘した。また、自由インド太平洋連盟のラビア・カーディル会長も大阪を訪れ、約300万人のウイグル人が当局に拘束されている実態を訴えた。そして、もうひとつ、中国による重要な国家犯罪が告発されている。
今年6月17日、英国ロンドンで開かれた「民衆法廷」(*1)は、中国による強制臓器収奪を事実として確認、「人道に反する罪で有罪」との最終裁定を下した。命懸けで映画「Death on the Silk Road(死のシルクロード)」に出演し中国の核実験によるウイグル人被爆の実態を告発し、強制臓器摘出の現場について証言するなど、ウイグル人の人権を守るため英国を拠点に活動するトフティ氏にお話を伺った。通訳/鶴田ゆかり氏

 

エンヴァー・トフティ・ブグダ(Dr.Enver Tohti Bughda)

アニワル・トフティとしても知られる。東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)のハミ(クムル)市生まれ。ウイグル自治区の首都のウルムチ市で小学校、中学校の教育を受ける。シヘジ医科大学を卒業後、腫瘍外科医として鉄道中央病院で13年勤務。ロプノル地域での中国の核実験(1964年より46回にわたる)を、不相応に高い悪性腫瘍の発生率から確認。ドキュメンタリー映画「Death onthe Silk Road(死のシルクロード)」(1998年、イギリスchannel4)の制作協力により英国に政治亡命。積極的に種々の国際会議や公的な討論の場に参加して、ロプノルの核実験とウイグル人の被爆の事実を広め、実験の犠牲者のために闘っている。英国に在住することで、意識が変化し、1995年に上司の命令で一度だけ行った囚人からの臓器摘出に対する罪悪感に目覚める。以来、世界各地の公聴会や上映会に参加し、中国での臓器収奪の真実を訴える。
[ウェブ上で視聴できるサイトの一部]
アイルランドでの証言(2017年7月6日)「中国の元外科医、臓器狩りの証拠を提供─アイルランドの外務・通商・防衛共同委員会で」(日本語字幕付き)(3分)
◯「中国での良心の囚人からの強制臓器収奪に関する民衆法廷」第一回公聴会の証言(2018年12月10日)(英語のみ)

3日目の第一セッション二人目の証言者(48:28より)

 

二つの人体実験

 

トフティ
1949年に中華人民共和国に征服されて以来、私の故郷東トルキスタンは新疆ウイグル自治区と呼ばれ、人体実験の場とされています。その第一は核実験です。中国は、1964年から1996年にかけて46回の核実験をロプノールで行っています。実験場近くの住民には核実験するという告知はおろか、事前の避難勧告すらなく、多くの人々が被爆し、奇形児も多く生まれました。このことについて、私はイギリスの「チャンネル4」が制作したドキュメンタリィ『DEATH on theSILK ROAD(死のシルクロード)』に出演し、その証明をしました。人体実験の第二は臓器移植のための人体提供です。無実のウイグル人が政治犯として捉えられ、臓器を抜き取られ、証拠隠滅のためボイラーで焼かれているのです。私自身それと知らぬ間に一度だけ、その手術に関わり、懺悔と共に今、その告発を国際的に行っています。

 

差別

―中国による恐るべき犯罪です。今日はその実態について詳しくお聞きしたいと思いますが、まずは、改めてトフティさんの生い立ちから。
トフティ
ウイグルのクムルという町で生まれ、父の転勤に伴ってウルムチに移りました。父の働いていた鉄道管理局にはウイグル人は少なかったので、私は中国人の幼稚園に行って中国語で教育を受けました。このユニークな立場がウイグルと中国の両方への視点を持つことにつながったと思います。最初に差別を受けたと感じたのは小学1年生のときです。1970年頃です。旧正月にクラスメイトの家に呼ばれました。親友でした。その日、肉がふるまわれました。当時は、文化大革命で中国人の家庭でも肉が手に入ることは稀でしたし、内陸部は食糧不足でウイグルは配給制でした。旧正月のおもてなしとして特別に肉が出されたのですが、その肉は豚肉でした。私はイスラム教徒でした。「すみません。豚肉は食べないんです」と言いました。友人にはその理由が分かりませんでした。すると、彼のお父さんが「ウイグル人の祖先は豚だからだ」と言ったのです。当時の私は中国の一部になることを誇りにさえ思っていました。龍の子孫である偉大な中国の一部であると。なのに突然、豚の子孫だと言われてしまいました。初めて差別を感じたときでした。豚肉を食べないイスラムの風習を知らなかっただけの誤解だったのかもしれませんが、この出来事は深い心の傷となりました。このときから、私は中国人ではないと感じ始めました。

学校ではどんな感じだったのですか。
トフティ
私はウイグルの歴史について学びたいと思いましたが、授業ではウイグルはおろか新疆自治区についてさえ触れられませんでした。先生に「どうして新疆について教えてくださらないのですか」と聞きました。「新疆は中国の一部ではないから」という答えでした。当時の中国の小学生の感覚では、外国のほうが地位が高かったので、中国の一部ではない、つまり外国人だと言われたようで、自分の地位が高くなった気がしました。授業では毎日のように日本がいかに悪いか、邪悪であったかという教育がなされました。しかし、日本兵が中国を占領している映画では、日本兵と共に中国の皇協軍(*2)の兵が戦っており、その数の方が多く見えました。日本兵が邪悪なのに、なぜ日本兵と共に戦っているのか?真実は何か。一度日本に行って確認したいと思っていました。さて、私は医学の道に進み、ウルムチの鉄道局付属病院の外科医になりました。ここでも文化摩擦がありました。同じ部署に6人の医師がいて、5人が中国人、ウイグル人は私一人でした。ある時、看護婦が質問をしました。5人の中国人は答えることができず、私が答えました。すると、その看護婦はこう言ったのです、「羊の脳味噌を食べる人達も結構頭がいいんですね」と。これに対して、私が「羊の脳味噌を食べる人達と豚の脳味噌を食べる人達とどちらが頭がいいと思いますか」と言い返しました。中国語で「豚の脳みそ」は馬鹿のことを意味するので私は中国人医師たちを怒らせてしまいました。

(*1)「中国での良心の囚人からの強制臓器収奪に関する民衆法廷」↓関連記事を29頁に掲載。
(*2)皇協軍…日本軍占領地で日本軍に投降するなどして帰順、協力した武装部隊の総称。

 

被爆の実態を知る

ひどい差別ですね。
トフティ
病院には病床が40床ありました。そのうち30床が中国人用、10床がウイグル人はじめ中国人以外のその他民族用でした。私は、この割合の不公平さを疑問に思い、調査を開始しました。すると主任に「何とがをしているんだ」と咎められました。さわそして、「このことには触るべきではない」と釘を刺されました。しかし、私は密かに調査を続けました。あるとき、2千件以上の臨床データへのアクセスを試みました。どこで生まれ育ち、どのような病気になったのかの記録です。そこで分かったのはウイグル人がリンパの腫瘍、白血病、肺や甲状腺などの癌に罹った割合が、中国の他の地域の平均よりもかなり高いことでした。ウイグルに長く居住している漢人の発癌率も高いことが分かりました。このことに私自身とても衝撃を受けました。それらは放射能に起因する病気であり、核実験の影響であることは明白だったからです。私はいつかこのことを世界に公表したいと思いました。やがて転機が訪れました。医師の昇給試験に必要な外国語を学ぶために海外への渡航が許されたのです。ウズベキスタン、そしてトルコに行きました。イスタンブール大学でトルコ語を学びました。そして同大系列の医療大学附属病院でインターンとして働けるようになりました。そんなとき、ロンドンからテレビ局のクルーがやってきたのです。

 

ドキュメンタリー『DEATH on the SILK ROAD(死のシルクロード)』への参画

― どのように接触されたのですか。
トフティ
 初めは肝炎について調べたいということでした。インタビューを進める中で、彼らは私が核実験の被害者についての真実を知っていることに気付きました。突然話題が変わりました。そして二日後に再会したとき、ドキュメンタリー制作に協力してほしいと要請を受けました。もちろん、「はい」と答えました。もともと私がしたかったことですから。1998年、取材することになりました。取材クルーは観光客を装い、なんとかばれずに済みました。収録した映像のビデオテープは、別ルートで入ってきたメンバーに渡し、ロンドンまで持ち帰らせました。そしてクルーも出国しました。彼らがイスタンブールに着いたという報告を聞いて、私も出国しました。もう二度と帰れないと思うと、さすがに涙が出ました。こうして私は分離独立派として当局のブラックリストに載ることとなりました。

―映像で病院のカルテを調べるところはスリリングでした。《ドキュメンタリーの中で、トフティ氏が医科大学の図書館で秘密情報にアクセスする場面が出てくる》
トフティ
 セキュリティを通過するところは本物の映像ですが、ファイルを探しているところは演出で後で撮影したものです。実は夏休みで図書館が閉まっていたのです。そこで図書館の警備係に袖の下を掴ませて、何とか入れてもらいました。1週間かけて必要な書類をコピーしました。

―核実験の被爆者や被爆二世の子供たちの生々しい映像は衝撃的です。
トフティ
 隠しカメラでの撮影でしたので、緊張の連続でした。
 
―反響は?
トフティ
 世界83局で放映され、衝撃をもって受け止められました。各国の政府や議会にも呼ばれました。
 
―中国政府の反応は?
トフティ
 沈黙しています。無視すればいいということなのでしょう。映像について外国人から指摘されると、中国当局は「トフティは嘘をついている」と言っているようです。
 
―恥ずかしいことですが、世界83局の中には日本のテレビ局は含まれていません。トフティぜひ放映してほしいですね。《日本では有志による自主上映会が行なわれている》
―中国の顔色を伺っているのは日本人として恥ずかしい限りです。広島、長崎を体験している日本ですから、本来は世界で最も関心を待たねばならないはずです。被爆は74年前の日本だけじゃない、それ以降、つい23年前までウイグル人が受けた被爆問題はもっと世界に知られるべきですね。
トフティ
 ありがとうございます。ぜひそうあってほしいですね。
 
―今後の目標は?
トフティ
 私たちは核実験場の場所の名前を取って、「ロプノール・プロジェクト」と呼んでいますが、被爆問題について真実を明らかにし、中国政府に被害者への治療と補償を求める運動を行っています。また、データを整理した本を出版したい。中国の核実験について書かれた本は一冊だけで、しかもそれは1978年までのものでそれ以降の記録がない。全貌を明らかにした本を出したいと思います。ひとつ付け加えますと、核実験によるウイグル人への被爆はロシア(旧ソ連)による核実験でも起きています。中央アジアの南側で中国が、北側でロシアが核実験を行い、ウイグル人は両方の被害を被ったのです。また、ロシアはウイグルのウラン鉱を狙っていました。ロシアの原爆開発の初期の頃、ウルムチから200マイル離れたアルタイ山脈の山中でウラン鉱石が発見されたのです。ロシアは地政学ゲームを当地で始め、ウイグル人はここでも地政学ゲームの被害に遭ってしまったのです。ちなみにウイグルのウラン鉱石採掘場では2万人の元日本兵捕虜が強制労働させられていました。
 
―そうだったのですね。日本とロシアとの平和条約はその点も含めた上でのものにしなければいけませんね。
トフティ
 最初の原爆実験をしたあとロシアはウイグルへの興味を失ってしまった。そこへ中国がやってきたのです。中国にとっては土地と地下資源以外は要らない。つまり、ウイグル人を抹殺したい。だからウイグル人を臓器奪取の目的で殺害することにも何の躊躇もないのです。
 
「臓器狩り」

―「臓器狩り」のテーマに移りたいと思います。この問題についての世界での認知度は?
トフティ
 まだほとんど知られていません。私の仕事はその認知度を高めることです。この問題を積極的に発信しているのはカナダ人とアメリカ人の3人です。私は当事者として初めてカミングアウトしました。私の証言はドキュメント『HARD TOBE LIEVE(知られざる事実)』の中にも収録されています。あるとき、地元の農家の人が子供の具合が悪いと私の病院にやってきました。超音波診断をすると、腎臓が一つありませんでした。その後、100人以上の子供たちを診察する中で、少なくとも3人の児童に臓器を取られた痕跡がありました。当時、臓器が盗まれているという噂を聞いたことがありました。1990年初めの頃です。この頃から「臓器狩り」が始まっていたのだと思います。「臓器狩り」は、ウイグルで実験的に始められ、法輪功(*3)の弾圧と共にその学習者も含めて件数が飛躍的に増え、法輪功弾圧への国際的批判が高まった現在では、またウイグル人がその対象として捕まっています。そして、運命の1995年がやってきました。あるとき、私は主任外科医から呼ばれて、翌朝、外科手術をするからチームを召集しなさいと言われました。翌朝、私たちはある処刑場の前で銃声が聞こえるまで待機するように言われました。やがて、銃声が聞こえたので、急いで駆け付けると、民間の服を着た男が倒れていました。右胸を撃たれていました。主任は肝臓と腎臓2つを摘出するように命じました。男はまだ生きていました。彼は私のメスを拒みましたが、衰弱のため抵抗できませんでした。私は臓器を取り出して、主任に渡しました。すると主任は見たこともないような箱に臓器を入れ、「今日は何もなかったことにしろ」と口封じを命じました。私も早く忘れようとしました。これが私が臓器の摘出に関わった一度きりの体験です。当時の私には罪悪感はありませんでした。中国社会に生まれるということは、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』に描かれている世界のように、疑問を抱かず職務をこなすよう洗脳されている社会で生きるということです。後に、イギリスに移り住み、欧米社会には人権というものが存在するということを知り、初めて自分は罪を犯したと気付きました。贖罪の気持ちが芽生え、公の場で中国で行われていることを告発することを決意したのです。早くから中国の臓器狩りを国際社会に告発しているイギリス在住のアメリカ人ジャーナリストがいます。彼が英国議会内でプレゼンテーションをすると聞いて聴講に行きました。彼の証言話の後、私は手を挙げて「私が実行しました」と初めて公に口にしたのです。それ以降、彼と協力してこの問題を世界に知らせる活動をしています。

(*3)法輪功…1992年、李洪志によって創始された気功修煉法で、中国の伝統思想にあたる真善忍を理念とする。かつては中国共産党員にも多くの学習者を抱えていたが、1999年、学習者数が共産党党員数を上回ったと推定され、江沢民政権が撲滅運動を開始。以来、今日まで過酷な弾圧が続いている。とくに捕まった信者が「臓器狩り」の対象とされているとの批判が国際的にも高まっている。

 

―通常の臓器移植とは違うのですね。
トフティ
 脳死状態の人から臓器を摘出して他の人に移植するということは医療行為として広く行われていますが、中国の「臓器狩り」は、まだ生きている人に麻酔をして、臓器を摘出することをやっているのです。当然のことながら麻酔が効いたまま死ぬことになります。これは紛れもない殺人です。私の例のように処刑直後の施術の場合は、麻酔もありません。
 
―おぞましい犯罪です。トフティこの問題の難しさは、証言者がいないということです。施術をする医師は口止めされていますし、施術された人は死んでいますから。臓器を摘出したあとの遺体は、すぐにボイラー室に放り込まれて焼かれてしまうのです。そして、ウイグル人の「政治犯」が臓器狩りの対象の多くを占めています。「政治犯」といってもほとんどは無実の罪で捕まった人達です。

 

おぞましい臓器ビジネス

写真(A)…空港には堂々と「人体器官」輸送路の標識が

―なんという人道に対する大罪でしょう。目的は何ですか。
トフティ
 まず、中国共産党幹部及びその親族、あるいは富裕層の移植手術に供されています。そして、さらに恐ろしいのは、臓器売買ビジネスです。
 
―ビジネス?
トフティ

 中国の臓器移植市場は1兆円の規模とも言われている。莫大な利益を稼いでいるというわけです。その端的な証拠をひとつ紹介しましょう。この写真(A)は、ウイグルのある空港にある通行標識です。そこには中国語で「特殊旅客、人体器官運輸通道」とあり、ウイグル語も並べて書いてあります。つまり、飛行場に専用の通路が確保されるほどビジネスとして日常化しているということです。湖南省では、プロモーションのために「臓器を20個、無料提供します」という広告まで打ち出しているウエブサイトさえありました。また緊急用に「臓器を4時間以内に提供できます」と謳うサイトもありました。
 
―マフィアも真っ青の悪逆ですね。
トフティ
 実際、ブローカーにはマフィアが動いていると思います。遼寧省のある病院には日本語のサイトまであって、「当院の生体移植は、日本の死体ドナーと違って、生体ドナーから取るから安全確実です」と、いけすまるで生簀の魚を掬って調理するような軽さで宣伝していました。通常は移植を希望しても2、3年は待たないといけないのに、「適合するドナーがあなたを待っています」と1、2週間ほどでドナーが見つかると謳っている。つまり、大勢のバンクを持っているということです。2016年に15歳から60歳のウイグル人すべてに身体検査を行ったという報告もあります。中国では感染症の疑いなどで住民に身体検査を行うことがあるのですが、この年の調査の理由は明らかにされていません。しかも2017年からはDNAの検査も行っているという。おそらくウイグル人のデータベースを作成して、臓器の適合性判断などに使用しようという目論みなのではないでしょうか。ウイグル人の多くが生体臓器バンク化されているのです。
 
―どれくらいの犠牲者が。
トフティ
 いろいろなデータがありますが、カナダ人のマタス弁護士によると、最近の10年間で150万人が臓器を摘出され殺されているという。私が施術したときはまだ実験段階だったようなのですが、爆発的に増加したきっかけは、1999年に江沢民の命令で法輪功学習者が強制収容所に入れられ始めた頃からです。それからチベット人も犠牲になっています。
 
―施術する医師に罪の意識は?
トフティ
 先述したように私自身、当時罪悪感がなかったのは、共産党による洗脳教育の結果だと思います。共産主義は世界で最も優れた思想で、これに反対するのは悪いことで、国家の敵であり、国家の敵を排除するのは正義だと思い込んでいたのです。さらに今ではビジネスですから金儲けになると考える医師もいるでしょう。中国では、臓器のほうがウイグル人の人権より、いえ、ウイグル人の人命より価値が高いのです。
 
―私たち日本人に望むことは?
トフティ
 安易な広告に釣られて、中国での臓器移植手術には応募しないでほしい。「臓器移植ツアー」は、近年、イスラエルやスペイン、イタリア、台湾などでは法律で厳しい制限が課せられましたし、米国では、「悪魔の所業」であるとして2016年に下院決議が上がっています。日本でも地方議会で「臓器移植に関する意見書」が少しずつ上がりつつあります。ぜひ関心をもって是正の動きに協力いただければと思います。また、日本で研修医として勤務した中国人達によって、日本の臓器移植の高い技術が中国に譲渡されてきました。医学界にも及ぶ中国の影響力に注意してほしいと思います。
 
―本日は、平和ボケの日本人には想像すらできない、しかし、苛酷な実態をお話しいただきました。まず日本人の多くがこの実態を知ることこそ、ウイグルの人たちの人命と人権を守るための第一歩になると思います。トフティさんの御健勝御活躍をお祈りいたします。

 


「民衆法定」が「中国は人道に対する罪を犯した犯罪国家」と断罪
─“強制臓器収奪”は現在進行形であり、「犯罪国家」に加担してはならないと警告

最終裁定を読み上げる「民衆法廷」のナイス議長(右から3番目)と判事ら

「中国の良心の囚人からの強制臓器収奪に関する民衆法廷」(以下、「民衆法廷」)は、中国での臓器移植濫用停止(ETAC)国際ネットワークの依頼により2014年に発足。「民衆法定」判事団は、弁護士のジェフリー・ナイス氏を議長として7名からなる。6月17日、ロンドンで開かれた「民衆法廷」で、ナイス議長は、《①臓器入手の待ち時間が以上に短い(通常は2、3年かかるのに、中国ではごく短期間でドナー=臓器提供者が現れる、という)。②法輪功学習者とウイグル人が拷問を受けている。③臓器移植件数と中国が公表している自主的ドナーの数が乖離。④臓器移植産業のための大規模なインフラの存在。⑤強制的な臓器収奪の直接的及び間接的証拠がある》などの理由により、中国による「強制臓器収奪は今日も続けられている」と結論付けた。また、法輪功及びウイグル人に対して「人道に対する罪」が犯されたことが、疑いの余地なく証明された、とした。そして、「医師、医療機関、航空会社、旅行会社、金融機関、法律事務所、製薬会社、保険会社、教育機関、個人のツーリストなどは、犯罪国家と関わっていることを認識すべき」と警告を発している。「民衆法廷」は、公式の国際機関が進んで調査しない、調査できない、または調査を恐れる場合に、これに代わって調査し、判決を下すもので、法的拘束力はないが、影響力は大きいとされる。

「民衆法廷」の邦訳は

ETAC日本語サイトhttp : //jp.endtransplantabuse.orgから「民衆法廷」のタグへ

最終裁定の要旨http : //jp.endtransplantabuse.org/ct-finaljudge/

 

その他リンク

ETAC「最終裁定 6月17日」

中国による「良心の囚人」からの強制臓器収奪に対する民衆法廷(英語)

日本会議(出版案内【日本の息吹】)