米国の医療機関、中国の強制臓器収奪に関与か=人権団体報告書

中国における良心の囚人からの強制臓器収奪(臓器狩り)は、国際社会から長年非難を浴び続けてきた深刻な人権侵害です。しかし、この非倫理的な産業を支えているのは、中国政府だけではないかもしれません。

中国での移植虐待を終わらせるための国際連合(ETAC)が5月19日発表した最新の報告書「レーダーの下で:中国の強制臓器収奪産業と米国の相互作用(Under the Radar: U.S. Interactions with China’s Forced Organ Harvesting Industry)」は、米国の著名な大学や医療機関が、中国の移植病院や研究機関と広範な協力関係を築いている実態を明らかにしました。

1. 中国における強制臓器収奪の背景
中国政府は、少なくとも20年間にわたり、殺害した良心の囚人から強制的に臓器を摘出してきたと告発されています。その主な犠牲者は、気功法である法輪功の学習者や、少数民族であるウイグル人などの宗教的・民族的少数派です。2019年、独立した「中国民衆法廷」は、中国が強制臓器収奪を継続しており、それが移植医学の倫理規範に違反し、「人道に対する罪」にあたるとの全会一致の結論を下しました。

しかし、国際的な医学界や移植界の多くはこの調査結果に対して沈黙を保っています。臓器の調達源が倫理的であることを証明できていない中国の移植事業体に対し、国際的な大学や医療センターが歴史的、あるいは現在進行形で協力関係を持っていることが確認されています。

2. 米国37機関が関与:協力の5つの形態
報告書によると、移植分野の臨床および研究で世界をリードする米国の37の大学や医療センターが、倫理的な臓器調達を証明できていない中国の移植機関と最近も相互作用を持っていたことが判明しました。これらの中国側機関は、中国政府が承認した移植病院リストに含まれているだけでなく、多くが過去の調査(Kilgour, Gutmann, Matasによる2017年のアップデート報告書)において移植活動が不審であると文書化されています。

米中間の協力関係は、以下の5つのカテゴリーに分類されます。

  • 病院の提携: 病院の建設、管理、運営、医療技術移転、監督などへの投資
  • 研究: 臓器移植およびその関連分野における共同研究
  • 臨床研修: 中国の医師や看護師に対する、移植に必要な専門技術のトレーニング
  • 学術交流・訪問・会議: 教職員や学生の交流、会議の開催
  • 不特定の医療的相互作用: 内容は不明ながら、組織間での接触が確認されているもの

3. 「明示的」および「黙示的」な支援の危険性
米国は移植医学の国際的なリーダーであるため、倫理的問題を抱える中国機関との関係は特に懸念されます。報告書は、こうした相互作用が中国の臓器収奪産業に対して「明示的」および「黙示的」な支援を提供していると指摘しています。

「明示的な支援」には、中国人外科医への技術トレーニング、共同研究を通じた移植技術の移転、移植病院への資金的・管理的支援、そして国際会議の開催によるリソース提供が含まれます。一方で「黙示的な支援」とは、倫理的違反が指摘されている相手と関係を維持し続けることで、「他国は中国の倫理違反を気にしていない」「見て見ぬふりをする用意がある」という誤ったメッセージを中国側に送ってしまうことを指します。

4. 思わぬ加担を避けるために

ETACは、米国が中国の臓器収奪を直接停止させることはできなくても「効果的な抑止力」を行使することは可能であると述べています。報告書は、米国政府および国際的な移植組織に対し、以下の4つの提言を行っています。

  1. 立法の制定: 臓器の調達が倫理的であることを証明できない中国の移植病院や機関との提携・協力を禁止する法律を制定すること
  2. 政府資金の制限: 不適切な中国機関と提携している米国の大学や医療センターに対し、移植関連の研究に関する政府資金の提供を停止すること
  3. 入国規制: トレーニング、雇用、研究、学術活動を目的とした、倫理的問題のある中国人臨床医や研究者の入国を拒否すること
  4. 倫理ガイドラインの策定: 医療専門団体が、疑惑のある中国機関との協力を避けるための具体的な倫理指針を作成すること

米国におけるこうした医療的相互作用は、知識不足によるものか、あるいは強制臓器収奪の事実を意図的に無視した結果である可能性があります。しかし、理由が何であれ、不透明な関係を放置することは、現在進行形で行われている医学的な惨劇を助長することになりかねません。ETACの報告書は、米国の医療機関と中国の移植産業との関係を透明化し、非倫理的なパートナーシップから撤退(ダイベストメント)することの緊急性を訴えています。

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