米SFで世界移植大会 日本人医師、日本の患者が「中国で1週間待ち臓器移植」

米サンフランシスコで開催された世界臓器移植大会の会場外で、臓器収奪停止を訴える人々(明慧ネット)

 2025年8月2日から6日にかけて米国サンフランシスコで開催された世界移植大会(World Transplant Congress 2025)において、中国における臓器移植の実態について、各国の医療関係者から深刻な懸念が示された。メディア取材に応じた日本人医師は、ある患者が中国に渡り「1~2週間で臓器移植手術」したとの経験を語り、「とても恐ろしく、危険」と強調した。

日本人医師が語る短期間での移植実態

 在米中国語メディア「希望の声」8月5日付報道によると、会場外で取材に応じた日本人医師は、自身の患者の実例について次のように述べた。

 「2~3人の日本の患者が中国で臓器移植手術を受けているのを知っています。彼らは仲介者を通じて手配し、わずか1~2週間で手術が完了したのです。恐ろしすぎます。とても危険です」

 同医師は、これらの行為は「違法」であると明言し、日本人患者に中国での移植手術を勧めたことは一度もないと強調した。

 日本臓器移植ネットワークの統計によれば、日本における腎移植の平均待機期間は約15年に及ぶ。この数字と比較すると、中国での「1~2週間」という期間は約390倍の速さとなる。医学的観点から、適切な適合性検査やHLA適合検査、待機リスト管理などの必要なプロセスを考慮すると、このような短期間での移植実施は通常の医療システムでは説明が困難だ。

 医師は、超短期間での移植手術は明らかにその裏に深刻な問題があることを示していると強調した。

 「中国での臓器移植には非常に高いリスクが伴います。多くの患者が手術後に日本に帰国した後、亡くなっています。なぜなら、その過程は管理されておらず、監督もされていないからです」 

 「(臓器収奪は)絶対に止めなければなりません。これは違法であり、非常に深刻な問題です。非常に難しい政治的な議題になっていますが、私にできることは、学生たちに本当の情報を伝えることだと考えています」

 中国における移植臓器の収奪問題「臓器狩り」は、2000年代から国際社会で懸念されている深刻な人権侵害。拘束された個人から同意なく臓器を摘出し、国内外の移植需要に応じる違法な臓器取引だ。2019年の「China Tribunal」による独立調査では、年間1万件以上の移植手術が強制摘出によって支えられており、その市場規模は数十億ドルに達すると結論づけた。主たる犠牲者は、迫害されている法輪功学習者やウイグル、チベットなど。

 

 各国医療関係者からの懸念表明

 明慧網の報道によると、移植大会の会場外では複数の国の医療関係者が中国の臓器移植システムについて懸念を表明した。

 ロシア人医師のボリス・ジャラミン氏は中国の臓器移植システムについて「透明性がない」と指摘した。同氏は「国際社会は必ずこのことに対して何らかの行動を起こし、臓器狩りを制止しなければなりません。なぜなら移植医療は人を救うためのものであり、人を殺すためのものではないからです」と強調しました。

 インドから参加した移植医スワラ・カム氏は、自ら3千例の腎臓移植手術を行った経験を持つ。同氏は「移植は必ずドナーの同意を得なければならず、最低でも家族の同意が必要です。これは欠かせない手続きです。中国ではこのようにしていないことを知っています」と指摘した。

 世界保健機関(WHO)の移植ガイドラインでは、臓器提供における自発的同意、透明な調達プロセス、公平な配分原則が定められている。イスタンブール宣言は商業的臓器取引を明確に禁止している。今回の大会で明らかになった「1~2週間」という移植期間は、改めて国際基準との整合性について疑問を投げかけるものとなった。

DAFOHの出展 拒否される

 強制臓器摘出に反対する医師団体「Doctors Against Forced Organ Harvesting(DAFOH)」によれば、同団体の出展申請は今回、拒否された。大会組織委員会は「異なる方向性を取ることにした」と説明したが、具体的な理由は明らかにされていない。

 ユタ大学医学部副教授でDAFOH副理事のウェルドン・ギルクリース氏は、ユタ州からサンフランシスコに飛び、参加医師らに情報提供を行った。同氏は「多くの医師や臓器移植界の関係者は、中共の非道徳的な臓器取得方法についてほとんど知らず、特に中共が臓器を入手するために殺人を犯している罪について理解していません」と述べた。ギルクリース氏によると、医療関係者の5~10%しか中国で発生している臓器狩りについて理解していないという。