本日、私の個人的な旅路が、イスラエルから中国への渡航移植という険しい土地に突入し、イスラエルの新しい臓器移植法の成立へと導かれ、イスラエルの臓器提供と移植の状況を100%変えることになった経緯をお話ししたいと思います …

ジャコブ・ラビー医師のスピーチ

 




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移植ツーリズムを防止する
イスラエルでの臓器移植法作りにあたっての私の旅路 

ジェイコブ・ラヴィー医師

外科専門教授

シバ医療センター内レヴィエフ心臓センターの
心臓移植科の科長

テルアビブ大学サックラー医学部

イスラエル移植学会の前代表

テルアビブ、保健省、イスラエル国家移植センター
心肺移植委員会委員長

イスタンブール宣言実行グループ(DICG)評議会員
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本日、私の個人的な旅路が、イスラエルから中国への渡航移植という険しい土地に突入し、イスラエルの新しい臓器移植法の成立へと導かれ、イスラエルの臓器提供と移植の状況を100%変えることになった経緯をお話ししたいと思います。

 

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心臓移植を約束された2週間後に受けたイスラエルの患者の話をご覧いただきました。私が中国での臓器源について調査を始めたきっかけです。

 

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この話の背景として、当時のイスラエル国内では臓器提供がほとんどなかったことを指摘させてください。このグラフに示されているように、オレンジで示されている移植待ち患者の数が、死体(グリーン)、生体(ブルー)の数をはるかに超えていました。

 

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100万人のうちの死体ドナー率を表した図です。欧米社会でイスラエルは常にドナー数が低い国でした。2010年はわずか8人。米国は25人です。

 

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ドナー率の低さには複数の原因が考えられますが、イスラエルの保険会社と医療保険基金で移植ツーリズムの費用が十分に賄われていたことが大きな要因に挙げられます。世界中どこでも、高額な渡航移植費のほぼ全額に常に適用されていたのです。法的な制約がなかったため、遠くの土地で行われていることの違法性を問わずに移植ツーリズムのコストは支払われていました。そして2008年まではイスラエルからの海外での移植では、中国が主要の渡航先だったのです。

 

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この問題を調査し、中国での本当の臓器源を認識し、これらの刊行物に自分の調査結果を発表しました。イスラエルから中国への渡航移植、保険会社による給付を停止するよう求めました。保険会社による支給は、中国での移植活動を合法的で倫理的であると認めることを意味すると言及し、中国への渡航移植を即刻禁止し、イスラエル人がこの極悪非道の行為に参加することを公然と非難するよう、イスラエル政府に要求しました。

 

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発表しても、イスラエルの新聞やメディアが私の要求を報道し始めるまで、しばらくかかりました。しかし、ここにあるように、一度報道され始めると、

 

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イスラエル議会、保健省が法的手続きを開始しました。私と数名の同僚が密接に関わり、2008年3月に臓器移植法が制定されました。いくつかの点でユニークで草分けとなる法律です。

 

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イスラエルの法律では、臓器売買を次のように定義し、違法としています。

(a) 自分もしくは他者の臓器が摘出されたか摘出される予定に対して、存命中、死後に関わらず、報酬を受け取ることを禁じる

 

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(b) 自分もしくは他者の身体に臓器が移植されたか移植される予定に対して、報酬を与えることを禁じる

 

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(c) 臓器の摘出もしくは移植において、臓器のドナーとレシピエントの間で直接的にも間接的にも仲介者となることを禁じる

 

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同法の第36章では次のように制定しています。

(a) 上記のいずれかをおこなったものは刑期3年に服し、罰則に関する法規の61項 (a)(4)(d) に従い罰金が課せられる。
(b) 臓器の摘出もしくは移植がイスラエルの国内もしくは国外で行なわれるかにかかわらず、上項 (a)(1 – 3) の命令が適用され、治外法権となる。

 

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最後にこの法律の第2章第5項は次のように制定しています。

イスラエルの国外で行われた臓器移植を除外するものではなく、これにはイスラエル人の身体がイスラエル国外で受けた臓器移植に対する費用の支払いも含まれる。下記の両項目を前提とする。

1) 臓器の摘出と移植が該当する国の法規に従って行われた。
2) この法律で制定された、臓器売買に反対の立場が保持されている。

 

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イスラエルの臓器移植法が通過してまもなく、違法の臓器入手もしくは臓器売買が行われていることが知られている国での臓器移植手術への給付を、すべてのイスラエルの保険会社が停止する命令を定めた規則が制定されました。

 

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この規則は即座に施行され、2008年以降、イスラエルから中国への渡航移植は突然、完全に停止しました。これ以来、一人も中国で移植手術を受けた患者はいません。さらに、イスラエルからフィリピン、スリランカ、コロンビアなどの他の渡航先に行く者の数を最小限に抑える助けとなりました。

 

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国外でのイスラエル人の腎臓移植件数は2006年の155件から2016年の31件にまで削減しました。イスラエルの司法制度も、新しい法律に基づき、臓器ブローカーや仲介者の検挙・投獄に乗り出しました。この犯罪行為が完全にストップする助けになることを望みます。

 

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臓器移植法は渡航移植への扉を閉めただけでなく、国内の臓器提供率を高めました。

 

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臓器移植法には、独自の新しい臓器割当政策の項目が設けられました。私が提案したものです。ドナーとして最低3年登録していれば、臓器の割当が優先されるというものです。この臓器割当政策は、臓器提供を奨励し、登録しない者を不利な立場に置くことになりました。

 

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最優先は、最も近い親族が死亡もしくは存命中の生体腎臓・肝葉のドナーである場合です。

 

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次に優先されるのは、ドナー登録し、臓器待ちにリストされる前に最低3年間、ドナーカードにサインしている場合です。

 

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この二つの優先割当を反映させるため、臓器別に割当点数制度を編み出しました。これらの点数は、個人のコンディションに応じて割当てられる通常の点数に加算されるものです。

 

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1年にわたるマルチメディア、多言語のPRをスタートし、この新しい法律を国民に幅広く知らせ、新たな政策を実践しました。ウェブ上では「ドナー登録して移植待ちリストの優先に」というキャンペーン活動が始まりました。ここからもお分かりになると思いますが、簡単に便利な形でドナーカードの登録ができるようになりました。

 

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テレビでも、イスラエルの著名なニュース・キャスターが「待つことは時には生死に関わります。ドナー登録して移植待ちリストの優先に!」というキャッチフレーズで広報していきました。

 

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ドナーカードは*6262に通話するだけでドナー登録できることを街頭のビルボード、バスの広告などで、一般に通知していきました。

 

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2012年4月1日にこの新しい政策が公式スタートしました。

 

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とても効果的でした。ドナー登録者が大幅に増えただけでなく、このグラフに見られるように増え続けています。

 

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しかしここで最も重要なことは、承諾率の大幅な上昇です。死亡したドナーの最も近い親族が、愛する者の臓器を提供することを承諾する割合です。2016年はこれまで最高の62%に達しました。

 

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さらにイスラエルからの生体腎臓移植のドナー数が2010年の71件から2016年の222件へと大きく伸びています。

 

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イギリスのテレグラフ紙に、国民健康保険が英国でのドナー登録者に同様の優先制度を採用することを考慮しているという報道があり、とても嬉しく思いました。

 

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カナダの新聞にも同様に、臓器割当政策の変更を求める声が上がっています。

 

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最近はチリもイスラエルの成功を追って、同様の法律を採択しました。

 

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最後にバタフライ効果を指摘することでこのプレゼンテーションを終えさせてください。南米で一匹の蝶が羽ばたけば、セントラルパークの天候に変化を及ぼす…

 

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…ここでは一人の患者が、中国で処刑された囚人から非倫理的に臓器を取得したことで、イスラエルの法律に大きな影響が及ぼされたのです。

 

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ご静聴ありがとうございました。